2008/3/14

景品表示法に関するコンプライアンス-NTT東西の不当表示

Filed under: (3)消費者コンプライアンス — 家坂圭一 @ 1:08

■ニュースの概要

  広告の表示 実態
接続手数料 表示なし
小さくて見えない

有利誤認表示
1回当たり31.5円かかる
通話料割増 3分8.925円
→3分10.5円
(昼間・区域内の場合)

NTT東西が2007年7月に始めたサービス「DIAL104 そのままおつなぎします」
104の番号案内のあと、そのまま電話を切って掛け直すことなく相手に接続できるサービスとして今年1月までに約538万件も利用されてきました。

しかし、この「DIAL104」の広告に、実際よりも有利なサービスだと誤認させる不当な表示があったことが判明。
サービスの利用には、1回あたり31.5円の接続料がかかることや、通話料も通常より割増になることにつき、 当初の広告には表示がなく、2007年10月以降の改訂された広告でも表示が小さく見にくいものでした
これらの事実をとらえ、公正取引委員会は景品表示法違反の不当表示(有利誤認)に当たると判断、NTT東日本と西日本に排除命令を出しました。

携帯電話料金の不当表示に関する警告が出されるなど、通信業界の広告については今までもトラブルが発生していましたが、排除命令という形式で行政処分が下されるのは初めてのことです。

●参照リンク

  1. 【公正取引委員会(PDF)】NTT東西宛て排除命令書
    (チラシの実物も見たい場合は、コチラから。)
  2. 【NTT東日本】公正取引委員会からの「排除命令」について
  3. 【NTT西日本】公正取引委員会からの「排除命令」について
  4. NTT番号情報株式会社

●参照記事

  1. 公取委がNTT東西に排除命令、番号案内で表示法違反 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
  2. NTT東西に排除命令 「DIAL104」料金で不当表示 - ITmedia News
  3. 「接続料、割高通話料知らせず」 ダイヤル104に排除命令 - MSN産経ニュース

■景品表示法の仕組

1.「表示」「広告」とは

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、不当表示(広告など)や過大な景品類(オマケ)の提供を規制することにより、業者間の公正な競争を確保するとともに、一般消費者の利益を図ることを目的とします(景品表示法1条)。
所管するのは公正取引委員会(略して「公取(こうとり)」)です。

ここで「表示」とは、顧客を誘引するために商品・サービスの内容・取引条件について行う広告などのことをいいます。
つまり、チラシや新聞・雑誌広告、ネットでの広告などを広く含みます。
例えば、今回のケースで問題になっている表示には、テレビコマーシャル、新聞広告、雑誌広告、駅貼りポスター、電車内広告などが含まれています。

2.不当表示とは

広告の表示がどのような場合に不当表示にあたるか、については、景品表示法の4条に示されており、以下の3つをいいます。

条文 内容

詳細

1号 優良誤認表示 商品・サービスの品質・規格その他の内容についての不当表示
2号 有利誤認表示 商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示
3号 公正取引委員会指定の表示

今回のケースで問題になったのは、2号の有利誤認表示です。

番号案内料金の他に、接続料がかかることや、通話料が通常より割増になることを説明しないまま、役務(サービス)の広告をしています。そうすると、消費者は
「そういう料金はかからない、無料のサービスだ。」
と思ってしまうことでしょう。
これが、「実際のものよりも著しく優良であると示」す行為です。

このような有利誤認表示によって、
「これは便利なサービスだ。使ってみよう。」
と消費者は行動するでしょう。
これが、「不当に顧客を誘引(誘うこと)」する行為です。

この世の中(資本主義社会)の原則は、正々堂々と価格等をきちんと明示して他社と競争することです。
しかし、特定の会社がこのルールを無視し、不当表示によって消費者を集めたとすれば、「公正な競争を阻害(妨げること)するおそれ」があります。

3.公正取引委員会の排除命令

不当表示があった場合に、公正取引委員会は排除命令を出すことができます(景品表示法6条)。
これは不当な広告行為を差し止め(中止し)たり、行為の再発を防止するために必要な事項を命令するという措置です。

今回の排除命令では、以下の措置をとることを命じています。

  1. 一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示する。
  2. 再発防止措置をとり自社の役職員に周知徹底する。
  3. 今後同様の不当表示(有利誤認)をしない。
  4. これら措置につき文書で公取に報告する。

■関連テキスト項目

テキスト第3巻『消費者に関するコンプライアンス』 No.08「景品表示法の問題」
08_景品表示法の問題

■関連する法令

不当景品類及び不当表示防止法

第1条(目的)
この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を定めることにより、公正な競争を確保し、もつて一般消費者の利益を保護することを目的とする。

第4条(不当な表示の禁止)
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。

  • 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
  • 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
  • 三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの

(2項以下略)

第6条(排除命令)

公正取引委員会は、第3条の規定による制限若しくは禁止又は第4条第1項の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令(以下「排除命令」という。)は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、することができる。

コメント (1) »

  1. 私のブログの方にコメント頂き、ありがとうございます。
    まさしく私の受け取り方のように、一部ではありますが「無料のサービスなんだな…」と思っていた場合は有利誤認表示にあたるわけですね。
    とはいえども、この件に限らず全てが全てちゃんと表示しようとすると、それはそれで難しいのかもしれませんね。今回のは単に不利なことを表示したくなかっただけでしょうが。
    それにしても…ここの記事とは全く別の話になり恐縮ですが、なぜそのままつなぐだけで有料になるのだろう、という点には疑問を持ってしまいます。
    まあ、とりあえずはこの件に対する対策をちゃんとして欲しいものですよね。

    コメント by MMR — 2008/3/16 @ 14:21

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