労働災害に関するコンプライアンス~竹中工務店の労災隠し
■ニュースの概要
ゼネコン大手の竹中工務店が、2005年に愛知県の自動車車体メーカーの新築工事を行った際、二次下請であった塗装会社従業員が、左足骨折全治1か月の重傷を負う労働災害に遭ったにも関わらず、これを労働基準監督署に報告しなかった「労災隠し」があったことが発覚。
竹中工務店名古屋支店の作業所長(当時)が一次下請会社に労災隠しを指示し、診断書を「打撲、治療不要」と改ざんして労働基準監督署に事故を報告しなかった。
同社は、今年3月に大阪市の超高層マンション建設現場で起こった労働災害についても、労働基準監督署に対して事故現場を偽って報告しており、11月に大阪簡裁で罰金30万円の略式命令を受けている。
【竹中工務店】弊社作業所における労働安全衛生法違反行為について
●参照記事
- 中日新聞:竹中工務店、労災隠し 愛知・刈谷の重傷事故で診断書改ざん:社会(CHUNICHI Web)
- 竹中工務店が労災隠し、作業員の重傷報告せず : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- 労災事故で虚偽報告、竹中工務店の作業所長ら略式起訴 - MSN産経ニュース
■労働災害の届出義務(労働安全衛生法)
労働安全衛生法によれば、4日以上の休業を伴う負傷事故があった場合には、遅滞なく労働基準監督署長に報告しなければなりません(労働安全衛生法100条。同法規則97条1項)。
4日未満の休業であったとしても、3か月ごとに報告すべき義務があります(同法100条。同法規則97条2項)。
| 休業4日以上の労災 | 遅滞なく労働基準監督署長に届出する義務 |
| 4日未満の労災 | 3ヶ月ごとに労働基準監督署長に届出する義務 |
これらの報告義務を怠った場合には、50万以下の罰金刑を受けることがあります(同法120条)。
しかも、今回のケースでは、診断書まで改竄しており、明らかな「労災隠し」と言わざるを得ません。
| あったこと | したこと | |
| 診断書 | 骨折、1ヶ月の重傷 | 打撲、治療不要 |
| 労基署への報告 | 遅滞なく報告する義務 | 報告せず |
■関連テキスト項目
テキスト第2巻『従業員・株主に関するコンプライアンス』
No.03「労働時間とサービス残業」
■関連する法令
法100条(報告等)
1 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、 厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
(2項以下略)
法120条(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
(一号~四号略)
五 第100条第1項又は第3項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
(六号略)
規則97条(労働者死傷病報告)
1 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第23号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 前項の場合において、休業の日数が4日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及
び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第24号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督
署長に提出しなければならない。
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