2007/12/3

ファーストクラスが激安?~価格カルテル(独禁法)

Filed under: (4)企業間・社会・環境コンプライアンス — 家坂圭一 @ 22:20

飛行機と空港

■IATA運賃協定

エコノミークラスの運賃に格安・激安があるのに比べると、
ビジネスクラス、ファーストクラスの料金は異常に思えるほど高額になっています。

これはなぜかというと、国際交通運賃については航空運送事業者(航空会社)間での価格協定(価格カルテル)が認められているからです。
具体的には、IATA(イアタ。国際航空運送協会)というところで、IATA運賃協定を結んでおり、したがって、IATAに加盟する航空会社であれば、どの会社でも同一の運賃になります。

※IATA(国際航空運送協会)
1945年にハーグで結成された世界の民間定期航空会社の団体。
国際航空運賃の決定や会社間の運賃貸借の決済を行っている。
■International Air Transport Association(英語)
■国際航空運送協会 - Wikipedia

■価格カルテルでは?

カルテル

もちろんこのような事業者間の価格協定は、価格カルテルに他なりません。
そして、独占禁止法は、このようなカルテルを原則として禁止しています(独禁法6条・8条)

最近でも、岐阜県の私立高校が入学試験の受験料、入学金、授業料などに関してカルテルを結んだとして、公正取引委員会から警告を発せられています。

■【公正取引委員会】岐阜県私立中学高等学校協会に対する警告等について(PDF)
■時事ドットコム:入学金カルテルで警告=岐阜県私立中高協会に-公取委
東京新聞:公取委、受験料調整で警告 岐阜県私学協、少子化で:社会(TOKYO Web)
受験料・入学金でカルテルの疑い 県私学協 - 岐阜新聞 Web

■国際交通運賃は例外?

国際交通運賃に関するIATA協定は、この価格カルテルの制限を免れています。
正確にいえば、協定自体が独禁法の適用対象外とされているのです(航空法110条)
その理由としては、
「航空会社間の乗り継ぎや利用航空会社の変更に必要として、世界的に独禁法の適用除外とされてきた」
というものが挙げられています。

■公正取引委員会の判断

公正取引委員会に設置された政府規制等と競争政策に関する研究会では、
「運賃協定・価格カルテルを独禁法の適用除外から外す」
という結論を出しました。

つまり、国際交通運賃を自由競争の下に置こうというのです。
これが実現すれば、「激安ファーストクラス」が実現するかもしれません。

●【公正取引委員会】国際航空市場の実態と競争政策上の課題について(PDF)

■今後の流れ

現段階では、公正取引委員会の考え方が示されたのみです。
具体的には、航空法が改正されなければ、事態は変わらないわけで、その航空法を所管しているのは国土交通省です。
つまり、

  1. 公正取引委員会から国土交通省へ航空法の見直しを要請
  2. 国土交通省がこれを受け入れ、法改正を国会に提出
  3. 国会で法改正が可決される。

というプロセスが全て進めば、価格の自由化がなされることとなります。

●参照新聞記事

■適用除外制度のパブリックコメントに10件、IATAは移行に十分な配慮もとめる
(旅行業界 最新情報 トラベルビジョン-ニュース)
■「格安ファーストクラス」も登場か 公取委がIATA運賃を独禁法対象に - MSN産経ニュース

■他のブログでは

  1. 「航空運賃値下げなるか 国際カルテル、独禁法対象に」ビジネス‐その他産業ニュース:イザ!
  2. So-net blog:トクダス:航空運賃値下げになるか。産経のスクープ? 国際カル..
  3. ビジネスクラスは値下げして欲しいですね。:イザ!
  4. I’ll be~ニュースで学ぶビジネス法務 独禁法適用、国際航空運賃にも・公取委研究会、例外廃止求める
  5. 航空料金が安くなる? 元気がでる税理士事務所

■関連する法令

●航空法

第110条(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 の規定は、次条第一項の認可を受けて行う次に掲げる行為には、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いるとき、一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより利用者の利益を不当に害することとなるとき、又は第百十一条の三第四項の規定による公示があつた後一月を経過したとき(同条第三項の請求に応じ、国土交通大臣が第百十一条の二の規定による処分をした場合を除く。)は、この限りでない。
一  航空輸送需要の減少により事業の継続が困難と見込まれる本邦内の各地間の路線において地域住民の生活に必要な旅客輸送を確保するため、当該路線において二以上の航空運送事業者が事業を経営している場合に本邦航空運送事業者が他の航空運送事業者と行う共同経営に関する協定の締結
二  本邦内の地点と本邦外の地点との間の路線又は本邦外の各地間の路線において公衆の利便を増進するため、本邦航空運送事業者が他の航空運送事業者と行う連絡運輸に関する契約、運賃協定その他の運輸に関する協定の締結

●独占禁止法

第6条
事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。

第8条
事業者団体は、次の各号の一に該当する行為をしてはならない。
一  一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。
二  第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。
三  一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。
四  構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。
五  事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。
(以下省略)

■関連テキスト項目

現代企業経営4『企業間・社会・環境に関するコンプライアンス』
No.02「談合・価格カルテル」

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